家族に知られずに自己破産
手続き上はできるようです。家族に知られることなく自己破産するというのは。でも、自己破産すると官報に名前が載ってしまいます。これをいちいち見る人なんてそういませんけど、でもその気になれば誰でも見ることができます。手続き自体は内緒のままで進めることができますけど、どこから知られてしまうかわからないので、心理的にはかなり負担になるのではないでしょうか。
任意整理ではどのようなメリットがあるのでしょうか。任意整理のメリットとしては債務者が裁判所にいく必要はなく、利息や損害金カットの交渉ができます。過払い金があれば回収することも可能、和解契約が債務名義化しないなどです。しかしブラックリストに載ってしまう、和解が成立しないなどのデメリットもあるでしょうね。
【第164回】今村聡さん(日本医師会常任理事)
政府・与党は6月末、社会保障と税の一体改革の成案を正式決定した。成案では消費税について、「2010年代半ばまでに段階的に税率10%まで引き上げ」と明記している。日本医師会の今村聡常任理事は、「このまま税率が倍になれば、医療機関が負担する控除対象外消費税も倍になり、経営が立ち行かなくなる」と焦りを隠さない。現行の制度の問題点と解決策について今村氏に話を聞いた。(木下奈緒美)
■放置で増税、「経営が立ち行かなくなる」
―医療にかかわる消費税の議論では、「控除対象外消費税」の問題が大変重要なのに、医療関係者にはあまり認知されていないように思います。
消費税は代表的な間接税で、最終消費者が負担するため、物を売る事業者は原則、負担しません。ところが、社会保険診療報酬の消費税は非課税なので、患者さんは消費税を支払わない。一方で、医療機関は設備投資や医療機器・医薬品購入などの際、消費税を支払います。もし課税の仕組みであれば、その仕入れに掛かった税額が控除されますが、診療報酬は消費税非課税なので控除されない。このため、医療機関が払いっ放しとなり、税負担が莫大な金額に上っているのです。
日医の調査によると、医療機関全体で診療報酬の2.2%に相当する控除対象外消費税が発生しています。具体的な例を見ると、私大病院(計82病院)の1病院当たりの負担額は、09年度には3億9200万円(診療報酬の2.6%に相当)に上っています。これだけあれば、年収300万円のメディカルクラークを130人、年収1000万円の医師を40人雇える。それほど大きな税負担と言えます。
―これについて国側は、想定される医療機関の負担分について、消費税が導入された1989年、税率が上がった97年に診療報酬をプラス改定して措置したという認識です。
国は、診療報酬全体で89年にプラス0.76%、97年にプラス0.77%の改定を行っています。単純に合わせれば計1.53%ですが、実際には2.2%の税負担が生じているので、設定が甘いとしか言いようがありません。
1.53%のうち、薬価分などを差し引いた診療報酬本体は0.43%(89年0.11%、97年0.32%)です。日医の調べでは、これは36項目の診療報酬点数にのみ上乗せされています。この36項目の点数を当時と現在で比べると、そもそも上乗せ分が一体どうなったのかがよく分かりません。中には、包括化されたり、項目そのものがなくなったりしているものもあります。つまり、きちんと1.53%分が上乗せされているとしても足りませんが、そもそも残っている上乗せ分は1.53%よりもずっと少ないと考えられるのです。
病院の利益率は年間2-3%といわれているので、このまま何の手当てもしないで消費税率が10%になれば、控除対象外消費税の診療報酬に占める割合は現在の倍になり、より大きな負担が生じます。これでは利益は出なくなり、下手をすれば経営が立ち行かなくなるでしょう。
医療機関は、医療に直接関係ないところで莫大な負担を負わされているわけで、これは医療崩壊を加速させることにつながると思います。
問題は、このような仕組みにした後に、検証や見直しを全く行っていないことです。個人的には、それが診療報酬の財源配分にも大きな影響を与えていると思います。限られた財源の中で、「病院が大変だから、診療所の分を病院に充てる」という議論がありました。しかし、病院が大変な理由の一つには、莫大な税額を控除できていないこともあるでしょう。税制がおかしいために、診療所に充てる報酬が減るというのは納得できません。診療報酬改定の議論では、このような税の影響にも着目すべきだと思います。
昔よりも医療安全や省エネ対策、耐震工事などへの投資が求められる一方で、20年前の基準をベースに「措置済み」と言われる―。このまま放置すれば、医療機関の負担はますます大きくなることが予想されます。もはやこの仕組みは絶対に容認できないというのが、医療界の強い意向になっています。
■設備投資が小さい診療所も「問題は共通」
―診療所は大きい設備投資をほとんどしないため、プラス改定分でむしろ得をしているとの見方もあります。
一般的に、診療所は点数の上乗せがあった36項目をほとんど実施しないため、得をしているということはありません。日医のデータでは、診療所でも約2.2%の割合で消費税分を負担しています。
社会保険診療とは異なり、保険適用外の医療を提供する自由診療には消費税が課税されます。一方で、現行の税制上では課税売上高が1000万円以下の事業所は税金を納める必要がないため、病院よりも小規模な診療所が自由診療を提供すれば、いわゆる「益税」の恩恵を受けられるとみる人も確かにいます。ただ、自由診療で1000万円売り上げたとしても、入ってくる消費税は50万円です。では、控除対象外消費税はいくらか。一般的に、医療機関の売り上げ全体の1割程度が自由診療といわれます。そこで、自由診療を1000万円とすると、保険診療分は9000万円。消費税の負担割合が2%としても、180万円分の負担が生じていることになります。つまり、仮に50万円の利益があっても、一方で180万円の負担をしているわけで、トータルではマイナスになっています。もちろん、利益が出ているところもあると思いますが、多くの診療所が「益税」で得をする仕組みになっているわけではありません。
診療所と病院で影響の大きさに違いはありますが、問題は共通です。地域医療を担っていく上で、病院が成り立たなくなれば診療所も結局、成り立たない。病院と診療所の区別なく、一体的に考えていかないといけないと思います。
■患者の負担増が生じない「課税制度」に
―この問題をどう解決すべきでしょうか。
まず、社会保険診療に消費税を課税する仕組みに変えるべきです。それにより、医療機関では仕入れ税額を控除できるようになります。医療機関は支払った税額を返還してもらえるため、払いっ放しにはなりません。
次に、課税に伴う患者さんの負担増を避けるため、税率を0%、つまり「ゼロ税率」にすべきです。ゼロ税率と非課税は、患者さんの負担は全く同じですが、医療機関から見れば消費税の負担を控除できるかできないかという、天と地ほどの差があります。
「ゼロ税率」の適用が難しければ、国が主張する診療報酬への上乗せ分1.53%と同じ規模の軽減税率を適用する。または、普通税率で課税する一方で、患者さんや保険者の負担分を何らかの方法で還付する仕組みをつくる方法も考えられます。
―この問題の解決に向けて、日医ではどのような取り組みを進めていくのでしょうか。
診療所を対象に、この問題に関するアンケート調査を実施しています。診療所にとっては、課税制度に切り替われば関係書類の作成など、事務的な負担が増える可能性があります。このような場合の対応の可否などについて尋ねたものです。アンケートの結果、どうしても対応できないという診療所があるとすれば、そのような診療所を守るための取り組みもしなければいけません。
会員や国民への説明にも力を入れます。その一環として、8月21日に「医療と消費税」をテーマにセミナーを開催します。主催は日医と四病院団体協議会。後援は日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院団体協議会などで、医療界を挙げて取り組みます。この問題を国民にもぜひ知っていただき、どのような仕組みにするのが一番いいのか、一緒に考えてほしいと思っています。
―来年度の税制改正に向けて、どのようなことを求めていきますか。
問題解決に向けて、現在の非課税制度を見直して仕入れ税額控除が可能な課税制度にし、患者負担を増やさない制度に改善することを第一に求めます。改善するまでの緊急措置として、設備投資の仕入れ税額を控除する特例措置の創設も必要だと考えています。
このほか、診療報酬に対する事業税非課税の特例措置の存続や医業承継時の相続税・贈与税制度の改善、社会保険診療報酬の所得計算の特例措置の存続などを求めていくつもりです。日医としての要望は8月末に提出し、その後、昨年と同じように四病協との連名の要望を出して、医療界全体で働き掛けを強めていきます。
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